脂漏性皮膚炎の初期症状は皮膚がうっすら赤くなり、さらに症状が進むと赤みが強くなり、フケのように顔の皮がむけてくる場合があります。
また、かゆみを伴うときがあります。
頭皮の場合は、一部が赤く炎症しフケがたくさん出るようになります。
一方、アトピー性皮膚炎の症状は、赤く炎症しジクジクしかゆみを伴い、皮膚が乾燥します。
このように、初期の症状はどちらも皮膚が赤く炎症する程度なので、症状がよく似ています。
ちなみに、脂漏性皮膚炎に似たような皮膚が赤くなる症状の皮膚炎には、アトピー性皮膚炎の他に酒さ様皮膚炎、酒さという皮膚炎があります。
皮膚科に行って診てもらっても、脂漏性皮膚炎の原因菌の有無を顕微鏡で確認しないで
診断するケースもあり、誤診する場合がよくあるといわれています。
アトピー性皮膚炎と診断されたけど、その後の診断で実は脂漏性皮膚炎だったという
場合は多いようです。
脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎とでは、原因が違うので治し方も異なります。
間違った診断をされると、治るのも遅くなりますので、今回は脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の違いとその見分け方について紹介します。
●脂漏性皮膚炎は真菌(カビ)が直接の原因
脂漏性皮膚炎は、出るのが皮脂がよく分泌される箇所に限られます。
顔、髪の生え際、耳の後ろ、頭皮で、まれに胸や背中にでることがあります。
症状は皮膚が赤く炎症して、かゆみを伴います。
皮膚が炎症すると、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)の周期が短くなるため、皮膚がはがれ落ちたり、頭皮にできた場合ははがれる角質が増えて大量のフケになります。
これらの部分に皮脂が過剰に分泌されるために、皮膚の常在菌でカビの一種であるマラセチア菌が過剰に繁殖してしまうことで、引き起こされる皮膚炎です。
マラセチア菌は、皮脂が好物なので分解して遊離脂肪酸をつくるので、この物質が皮膚を炎症させます。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌に関係するので男性ホルモンと関係があり、女性より男性、特に30~40歳代以降に多い傾向といわれます。
●アトピー性皮膚炎はアレルギー体質の人がなりやすい!
アトピー性皮膚炎はできやすい箇所に特徴があり、顔、首から胸にかけて、脇の下やひじの内・外側ものの付け根、ひざの表・裏側などに発疹が強く出る傾向があります。
赤みのある皮膚の炎症が起こるのは、脂漏性皮膚炎に似ています。
その他に盛り上がるような湿疹やジクジクとした水分の多い湿疹であったり、皮膚はパサパサして皮がむけるなどの症状があり、強いかゆみが伴います。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質の人がなりやすく、もともと皮膚バリア機能が低下しやすい素因があるといわれています。
幼児や小児の場合は、以上のような素因に加えて細菌やハウスダストなどのアレルゲンの侵入やストレスによって発症するといわれています。
最近は成人でもアトピー性皮膚炎にかかる人が多くなったといわれます。
成人がアトピー性皮膚炎になる原因には、もともとの素因に加えて、生活や不摂生、ストレスが大きな要因といわれています。
皮膚が炎症する理由は、免疫バランスが崩れアレルギーの原因である免疫物質「IgE抗体」ができるためです。
このため、免疫機能が過剰に働いて、皮膚へのちょっとした刺激に対して、皮膚の肥満細胞からヒスタミンが放出されるのでこれが皮膚の炎症を引き起こします。
皮膚へのちょっとした刺激に反応するのは、「皮膚のバリア機能が低下」しているからで、素因と生活環境からくるものとがあります。
●脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の見分け方のポイント
脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎の症状や出る箇所を比較してみましたので、違いや見分け方がお分かりかと思いますが、まとめると次のようになります。
・出る箇所の違い
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌が多いところにでるのが特徴なので、皮脂腺の少ない脇の下やひじの内・外側ものの付け根、ひざの表・裏側などにはできません。
なので、脇の下やひじの内・外側、ひざの表・裏側などに症状がみられない場合は、脂漏性皮膚炎の可能性が高いといえます。
また、ひじの内・外側など左右対称にでるのも、アトピー性皮膚炎の特徴といえます。
・症状の違い
皮膚科医でも間違うことがあるというので、難しいのかもしれませんがアトピー性皮膚炎では皮膚がポロポロはがれてきませんが、脂漏性皮膚炎では皮がフケのようにむけてくるのも特徴です。
皮膚炎の場合は放置してもなかなか治りませんので、皮膚科の先生に早目に診てもらうことをおすすめします。